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哲学談戯

  • 2019年4月23日

スピノザ『神学・政治論』(1670)

思想・表現の自由を保障するための条件  スピノザといえば。。。  人格神を認めない理神論・汎神論と自由意思を否定した徹底した決定論 ―――  という印象が強いが、実際、スピノザの著作に触れてみると、どうもそんなに単純ではないようだ。  こうした教科書的理解は、スピノザの主著『エチカ』からきたものだが […]

  • 2017年4月4日

中島義道『哲学の道場』(1998)

日常誰でもが出会う事柄に対して半病的なこだわりをもち、それに対して全身でぶつかってゆき答えを求めようとする無謀でいくぶん滑稽な(まさにトン・キホーテ的な)営みこそ哲学なのです。  哲学は、一切の事柄において、何の役にも立たない。  哲学が、日常生活や仕事上において実践的な知識を与えるものでないだろう […]

  • 2017年3月11日

プラトン『饗宴』(B.C. 4c)

 彼女は言った。『では、以上をまとめると、こうなる――エロスは、よいものを永遠に自分のものにすることを求めているのだと』 哲学的文学作品  舞台は、前416年のアテナイ。ソクラテスは53歳で、壮年を迎えている。  『ソクラテスの弁明』『クリトン』『パイドン』とソクラテスの死を見つめ、その晩年の姿を描 […]

  • 2017年3月10日

プラトン『パイドン』(B.C. 4c)

プラトン中期の代表作  『パイドン』は、毒杯を仰ぐソクラテスの最期の姿を描いた作品。哲学的のみならず、文学的にも優れた内容で、プラトン中期を代表する著作だ。  「魂の不死について」という副題が付いているように、死を目前にひかえたソクラテスが、魂の不滅を議論する内容になっている。議論の相手となったのは […]

  • 2017年3月6日

プラトン『メノン』(B.C. 4c)

対話から想起へ  『メノン』は、プラトン初期対話篇の作品で、『ゴルギアス』とともに最も遅く書かれたと見られている。初期作と中期作の両方の特徴を持ち、中期への橋渡し的な位置付けにある。  主題となっていることは、「徳(アレテー)は教えることが可能なのか」という問いで、初期対話篇の『プロタゴラス』と同じ […]

  • 2017年3月5日

プラトン『プロタゴラス』(B.C. 4c)

若きソクラテス  『プロタゴラス』は、プラトンの「対話編」の中では、『パルメニデス』に次いで、最も若いころのソクラテスの姿を描いた作品。作中でのソクラテスは、36歳となっている。プラトンの初期作品群に属した著作で、プラトン自身も、おそらく30代ごろの若いころに執筆されている。  時代は、前433年、 […]

  • 2017年3月2日

プラトン『ソクラテスの弁明』(B.C. 4c)

 私は神によってポリスにくっ付けられた存在なのです。大きくて血統はよいが、その大きさゆえにちょっとノロマで、アブのような存在に目を覚まさせてもらう必要がある馬、そんなこのポリスに、神は私をくっ付けられたのだと思うのです。その私とは、あなた方一人ひとりを目覚めさせ、説得し、非難しながら、一日中どこでも […]

  • 2017年3月1日

F. M. コーンフォード『ソクラテス以前以後』(1932)

汝自身を知れ―――  デルポイの神殿に飾られたこの銘文は、ソクラテスの思想を最も象徴的に表した言葉だろう。  ソクラテス以前の哲学は、イオニアの自然学派が中心で、彼らの関心は、この世界が何によって作られ、どのようにして生成と消滅を繰り返すのかということだった。 人間の主観に彩られた神話的世界観から離 […]

  • 2016年8月21日

アリストテレス『詩学』(B.C. 4c)

「詩」の体系的な把握  アリストテレスは、芸術の本質を「再現」(Mimesis)として捉えている。再現することは、自然を学ぶことであって、人間の本性に由来する。そして、再現されたものを鑑賞することに喜びを見出すのも人間の本性である。アリストテレスによれば、芸術の起源とその発展は、この人間の本性に由来 […]

  • 2016年8月20日

アリストテレス『弁論術』(B.C. 4c)

 私は語り終えた。諸君はしかと聞いた。事実は諸君の手中にある。さあ、判定に入り給え。 *対話への信頼 よりよい答えというものは、討論や議論の中で生まれてくる。そういった「対話」に対する信頼が、西欧の知的伝統の根底にはある。思想や哲学は、誰か一人の天才的な人間が、正しい答えを導くのではなく、人々の間の […]