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哲学談戯

  • 2017年3月1日

F. M. コーンフォード『ソクラテス以前以後』(1932)

汝自身を知れ―――  デルポイの神殿に飾られたこの銘文は、ソクラテスの思想を最も象徴的に表した言葉だろう。  ソクラテス以前の哲学は、イオニアの自然学派が中心で、彼らの関心は、この世界が何によって作られ、どのようにして生成と消滅を繰り返すのかということだった。 人間の主観に彩られた神話的世界観から離 […]

  • 2016年8月21日

アリストテレス『詩学』(B.C. 4c)

「詩」の体系的な把握  アリストテレスは、芸術の本質を「再現」(Mimesis)として捉えている。再現することは、自然を学ぶことであって、人間の本性に由来する。そして、再現されたものを鑑賞することに喜びを見出すのも人間の本性である。アリストテレスによれば、芸術の起源とその発展は、この人間の本性に由来 […]

  • 2016年8月20日

アリストテレス『弁論術』(B.C. 4c)

 私は語り終えた。諸君はしかと聞いた。事実は諸君の手中にある。さあ、判定に入り給え。 *対話への信頼 よりよい答えというものは、討論や議論の中で生まれてくる。そういった「対話」に対する信頼が、西欧の知的伝統の根底にはある。思想や哲学は、誰か一人の天才的な人間が、正しい答えを導くのではなく、人々の間の […]

  • 2016年3月4日

デカルト『哲学原理』(1644)

新たな世界像の構築  『方法序説』(1637)、『省察』(1641)と哲学的探究を続けてきたデカルトは、1644年、『哲学原理』を刊行する。この著作は、新たな形而上学の構築と、スコラ的自然観に取って代わるべき機械論的、数学的自然観を展開することが狙いで、デカルトの思索の集大成と呼ぶべき作品だ。  極 […]

  • 2016年3月3日

デカルト『省察』(1641)

Je pense, donc je suis. – cogito ergo sum 我思う故に我在り  西洋哲学史の中でも、とりわけ有名なこの言葉は、近代理性の出発点であり、近代哲学の幕開けを告げるものだ。デカルトの思想は、この言葉とともに、近代的な明晰さの象徴として理解されている。   […]

  • 2016年3月2日

デカルト『方法序説』(1637)

デカルトと中世  デカルトの哲学は、近代哲学の出発点だ。 代数学の発明、心身を分離した二元論、機械論的な身体論、数学的、力学的な自然観――― これらはすべて、近代的世界観の基礎をなしている。近代合理主義が彼の思想から始まったと言われるゆえんだ。デカルトの哲学は、現代では、合理的な精神に基づいた思考の […]

  • 2016年3月1日

デカルト『情念論』(1649)

受難、受動、情念  ラテン語の語源的文脈から言うと、西欧諸言語のpassionという言葉は、「受難」「苦しみ」という意味から来ている。苦しみを受けるという体験が、「受動passion」という意味になり、さらにその経験から引き起こされる激しい感情から、「情念passion」という意味にまで広がった。  […]

  • 2015年10月7日

渡邊二郎・西尾幹二編『ニーチェを知る事典』(2013)

 1980年に刊行された書籍の文庫化。  文庫本で800ページ近くある(文字通り)大著。ニーチェの専門家に限らず、多様な分野の研究者ら50人以上の執筆陣が、さまざまな面からニーチェ像を浮かび上がらせている。 やたらと分厚い本だが、各記事は非常に短く、主題も多岐に渡るので、意外に読みやすい。関心のある […]

  • 2015年10月6日

ニーチェ『喜ばしき知恵』(1882)

 来るべき勝利が、いや、かならずや訪れる、ことによるとすでに到来しているかもしれない勝利が……。 およそ予想外のことが起こったかのように、感謝の念がそこここに溢れ出ている。快癒した者の感謝の念が――。  ニーチェは『喜ばしき知恵』の冒頭の一節で、快癒への喜びを語っている。そして、この書物が、長い苦痛 […]

  • 2015年10月5日

ニーチェ『道徳の系譜学』(1887)

『善悪の彼岸』を補う書  ニーチェは、本書の前付けにて、この書を前著『善悪の彼岸』を補足、説明するものと述べている。 『善悪の彼岸』自体が『ツァラトゥストラ』の超人思想を説明するべきものだったはずだ。しかし、『善悪の彼岸』は、ヨーロッパ近代の時代診断へと主題を大きく変えていくことになった。超人よりも […]