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文学逍遥

  • 2019年9月15日

こころの不具 – 川端康成『片腕』(1964)

 ふと私には、この片腕とその母体の娘とは無限の遠さにあるかのように感じられた。この片腕は遠い母体のところまで、はたして帰りつけるのだろうか。私はこの片腕を遠い娘のところまで、はたして返しに行き着けるの […]

  • 2019年9月2日

川端康成 短編作品

『イタリアの歌』  1936年の初出。 川端の代表作『抒情歌』(1932)と同じく「死とそれを受け入れるもの」という主題を引き継いだ作品。だが、この作品の「死」の方がより唐突だ。死を受け入れる側は、突 […]

  • 2019年9月1日

川端康成『花のワルツ』(1937)

 チャイコフスキーのバレエ曲「花のワルツ」を舞台で踊る二人のバレリーナ、鈴子と星江。 二人は舞台の主役であり、振り付けも二人のために考えられたものだ。若い二人はまだ未熟で、互いを認め信頼しつつも、感情 […]

  • 2019年6月5日

上野の下町気質 – 井伏鱒二『駅前旅館』(1957)

 昭和30年前後の東京、上野。 上野駅前の旅館が舞台。  当時は駅前に呼び込みをしている旅館というのがたくさんあったらしい。当然だが、この時代は、旅先の宿を予約するというのがままならなかった。そこで重 […]