• 2017年11月15日

清水幾太郎『本はどう読むか』(1972)

読まれる読書から読む読書へ  読書というのは、なんとなく読んでいるだけで、自分が考えたような気になってしまう。しかし、著者に言わせると、それは本に「読まれている」だけで、自分にとって意味のある読書体験にはなっていない、ということらしい。  まぁ、確かに、字面だけ追っていって、なんだか読んだような気に […]

  • 2017年9月22日

神野直彦『人間回復の経済学』(2002)

市場経済に従属する人間  1982年から87年の足掛け6年に亘った中曽根政権は、構造改革を主導し、規制緩和、民営化、行政改革を推し進めた。しかし、その結果の90年代は、「失われた10年」と呼ばれ、長期の経済停滞に陥った。 2001年4月に誕生した小泉政権は、この経済停滞をさらなる規制緩和と民営化によ […]

  • 2017年6月11日

日本戦時下の笑い その2

早坂隆『日本の戦時下ジョーク集 太平洋戦争編』(2007) 過酷な時代の笑い  前作『満州事変・日中戦争編』の続編。今作は、昭和16年の太平洋戦争開戦から、昭和20年の終戦まで。 日本の有史以来、最も過酷だった時代だ。この時代を生きた人々の笑いとはどのようなものだったのか。悲惨な時代だったからこそ、 […]

  • 2017年6月10日

日本戦時下の笑い

早坂隆『日本の戦時下ジョーク集 満州事変・日中戦争編』(2007) 昭和日本の芸能史  昭和初期から太平洋戦争の直前まで、いわゆる戦時下を生きた庶民の笑いを取り上げている。 昭和は確かに政治、外交ともに激動の時代だったが、本書が扱っている範囲が太平洋戦争前年までなので、まだ人々の生活に余裕が感じられ […]

  • 2017年4月18日

今野晴貴『生活保護 – 知られざる恐怖の現場』(2013)

生活保護に対するバッシング  平均賃金が下がり続けるなか、社会保険料は上がり続けていて、ますます労働者の負担は重たくなっている。もう私の生活なんてカツカツだ。 劣悪な労働条件で働く人が増え続けているなか、労働者の不満は、経営者や政治家よりも、なぜか生活保護の方に向けられているようだ。連日のように生活 […]

  • 2017年4月4日

中島義道『哲学の道場』(1998)

日常誰でもが出会う事柄に対して半病的なこだわりをもち、それに対して全身でぶつかってゆき答えを求めようとする無謀でいくぶん滑稽な(まさにトン・キホーテ的な)営みこそ哲学なのです。  哲学は、一切の事柄において、何の役にも立たない。  哲学が、日常生活や仕事上において実践的な知識を与えるものでないだろう […]

  • 2017年3月11日

プラトン『饗宴』(B.C. 4c)

 彼女は言った。『では、以上をまとめると、こうなる――エロスは、よいものを永遠に自分のものにすることを求めているのだと』 哲学的文学作品  舞台は、前416年のアテナイ。ソクラテスは53歳で、壮年を迎えている。  『ソクラテスの弁明』『クリトン』『パイドン』とソクラテスの死を見つめ、その晩年の姿を描 […]

  • 2017年3月10日

プラトン『パイドン』(B.C. 4c)

プラトン中期の代表作  『パイドン』は、毒杯を仰ぐソクラテスの最期の姿を描いた作品。哲学的のみならず、文学的にも優れた内容で、プラトン中期を代表する著作だ。  「魂の不死について」という副題が付いているように、死を目前にひかえたソクラテスが、魂の不滅を議論する内容になっている。議論の相手となったのは […]

  • 2017年3月6日

プラトン『メノン』(B.C. 4c)

対話から想起へ  『メノン』は、プラトン初期対話篇の作品で、『ゴルギアス』とともに最も遅く書かれたと見られている。初期作と中期作の両方の特徴を持ち、中期への橋渡し的な位置付けにある。  主題となっていることは、「徳(アレテー)は教えることが可能なのか」という問いで、初期対話篇の『プロタゴラス』と同じ […]

  • 2017年3月5日

プラトン『プロタゴラス』(B.C. 4c)

若きソクラテス  『プロタゴラス』は、プラトンの「対話編」の中では、『パルメニデス』に次いで、最も若いころのソクラテスの姿を描いた作品。作中でのソクラテスは、36歳となっている。プラトンの初期作品群に属した著作で、プラトン自身も、おそらく30代ごろの若いころに執筆されている。  時代は、前433年、 […]