• 2016年9月11日

弓削達『ローマはなぜ滅んだか』(1989)

 人類史上初の世界帝国ローマは、いかにして滅んだか―――  これは、人類史の中で最も魅力ある主題のひとつだろう。本書は、そうした問いに、ローマ繁栄の裏にある経済や社会構造の歪みなどに焦点を当ることで答えようとしたものだ。 カルタゴとの覇権争い  ローマの繁栄とその崩壊を考えるとき、本書の冒頭で紹介さ […]

  • 2016年8月27日

東京の夏祭りに情緒はあるのか?

 夏ももうすぐ終わる。  9月になっても蒸し暑い日は当分続きそうだが、なぜか9月に入ると夏は終わったという感じがする。  普段、出不精の私も、夏になると山やら川やらに出かけるようになる。ついでに近所の夏祭りに寄ったりもする。  ただ、毎年、夏祭りに出かける度にひとつ気になることがある。  それは、「 […]

  • 2016年8月22日

ホラティウス『詩論』(B.C. 1c)

 ミネルウァの意に添わないなら、あなたは語ることもつくることもいっさいできないだろう。これこそあなたの判断であり、良識である。けれども、将来あなたが何かを書いたなら、まずそれを批評家のマエキウスと父上と私に読んで聞かせてから、原稿を家の奥深くしまい、九年目まで待つこと。まだ発表していないものは破り捨 […]

  • 2016年8月21日

アリストテレス『詩学』(B.C. 4c)

「詩」の体系的な把握  アリストテレスは、芸術の本質を「再現」(Mimesis)として捉えている。再現することは、自然を学ぶことであって、人間の本性に由来する。そして、再現されたものを鑑賞することに喜びを見出すのも人間の本性である。アリストテレスによれば、芸術の起源とその発展は、この人間の本性に由来 […]

  • 2016年8月20日

アリストテレス『弁論術』(B.C. 4c)

 私は語り終えた。諸君はしかと聞いた。事実は諸君の手中にある。さあ、判定に入り給え。 *対話への信頼 よりよい答えというものは、討論や議論の中で生まれてくる。そういった「対話」に対する信頼が、西欧の知的伝統の根底にはある。思想や哲学は、誰か一人の天才的な人間が、正しい答えを導くのではなく、人々の間の […]

  • 2016年7月11日

畑村洋太郎『起業と倒産の失敗学』(2003)

企業倒産の事例集  成功に法則はないが、失敗には法則がある―――この言葉通り、企業が破綻した事例から失敗の要因を明らかにしようと試みた本。原著は2003年の刊行なので、2000年前後の破綻事例が紹介されている。  企業破綻にもさまざまな類型があり、その要因もさまざまだが、本書はそのなかでも優良成長企 […]

  • 2016年7月10日

畑村洋太郎『決定版 失敗学の法則』(2002)

組織論・経営論で欠けている失敗の知識化  2002年の本。 著者は機械工学の専門家。  機械を設計する上では、実験や実証による知識は欠かせない。 一つの機械が完成するまでには、実際に組み立てて、試行錯誤(trial and error)を繰り返しながら、正常に作動する要件を見つけ出していく作業が必要 […]

  • 2016年6月19日

熊谷徹『ドイツ人はなぜ、1年に150日休んでも仕事が回るのか』(2015)

極めて低い日本の労働生産性  2015年刊行。  2015年の一人当たりGDPでは、日本は26位。28位のイタリアには、何とか競り勝った! 失業率12.4%(2015年4月)で、何よりも家庭と私生活を優先し、南欧の温暖な気候のなかで、シエスタとかいいながら仕事しないで休んでばかりいるイタリア人にぎり […]

  • 2016年6月15日

樺山紘一『ルネサンス』(1993)

近代性の裏に隠れたルネサンスの異なる側面  人間中心主義と合理主義的精神——— 14世紀は、古典文芸の復興の時代であり、中世的な宗教的盲目から解放された時代だ。この時代はのちにルネサンスと名付けられる。  19世紀中葉にミシュレーとブルクハルトによって作り上げられた「ルネサンス」という歴史の見方に対 […]