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哲学談戯

理想と被害妄想の狭間 – ルソー『孤独な散歩者の夢想』

ルソー『孤独な散歩者の夢想』(1782)ルソーの遺作 ルソーの遺作となった作品。 題名の「夢想」が示す通り、現実と妄想の狭間を行き来するような内容で終始、ルソーの独白が続いていく。 ルソーは一般的には『社会契約論』を提唱した社会思想家として...
哲学談戯

役に立たない哲学 – 中島義道『哲学の道場』

中島義道『哲学の道場』(1998)日常誰でもが出会う事柄に対して半病的なこだわりをもち、それに対して全身でぶつかってゆき答えを求めようとする無謀でいくぶん滑稽な(まさにトン・キホーテ的な)営みこそ哲学なのです。 哲学は、役に立たない——しか...
晴筆雨読

本を読んでるとバカになる? – 清水幾太郎『本はどう読むか』

清水幾太郎『本はどう読むか』(1972)読まれる読書から読む読書へ 読書というのは、なんとなく読んでいるだけで、自分が考えたような気になってしまう。しかし、著者に言わせると、それは本に「読まれている」だけで、自分にとって意味のある読書体験に...
哲学談戯

死への欲動と戦争——フロイトが見た人間の攻撃性と文明の限界 – フロイト・アインシュタイン往復書簡『人はなぜ戦争をするのか』(1932)

フロイト『人はなぜ戦争をするのか』(1932)外傷性神経症の発症 フロイトは、第一次世界大戦に直面して、人間の破壊的な欲望をまざまざと見せつけられ、それを契機にタナトスという死への欲動を理論化していく。 第一次世界大戦という人類が始めて直面...
哲学談戯

戦争と精神の退行——フロイトが見た文明の脆さ – フロイト『戦争と死に関する時評』(1915)

フロイト『戦争と死に関する時評』(1915)世界大戦がもたらした幻滅そしてこの戦争がもたらしたもの、それは幻滅である。 第一次世界大戦のさなかに書かれた論文。この論文は、第一次世界大戦という未曾有の戦争に直面したフロイトが、その衝撃をどのよ...
方々日誌

【四字熟語】読書亡羊 – 出典とその意味

読書亡羊(どくしょぼうよう)『荘子』外篇の駢拇に記された故事より。「書を読みて羊を亡う」と読む。他のことに気を取られて、大事なことを疎かにしてしまうことの例え。出典『荘子』臧と穀との二人、相い与(とも)に羊を牧(やしない)いて、倶(とも)に...
方々日誌

南部を奏でる土地、デルタ──ブルース発祥の地

ミシシッピ・デルタ Mississippi Delta とは? 「ミシシッピ・デルタ(Mississippi Delta)」とは、ミシシッピ州北西部、ミシシッピ川とヤズー川に挟まれた地域を指す。その特異な人種的、文化的、経済的背景から、「も...
方々日誌

ブルースの源流をたどる──ミシシッピ・デルタに響く悲哀の音楽

Bluesの誕生は19世紀後半、南北戦争終結(1865)後の数十年間の間と言われている。南部諸州の解放奴隷たちの間で、広く自然発生的に生まれたのだろうが、当時の記録は全くないので詳細は分からない。 Bluesが記録として最初に残されたのは、...
科学半解

脳科学はチョムスキー理論を証明できるのか? – 脳機能の普遍性と情報処理の普遍性の違い

言語相対論からチョムスキーの普遍文法論へ 言語が異なれば、物事の捉え方や把握の仕方も異なる——— このような考え方は、「言語相対論」と呼ばれる。 19世紀から20世紀にかけて西欧諸国が植民地を拡大する中で、非西欧文明との接触が進み、世界の多...
科学半解

言語のしくみは脳で解明できるのか? – 酒井邦嘉『言語の脳科学』

酒井邦嘉『言語の脳科学』(2002)脳科学が証明する言語の機能 2002年刊行。 ちょっと古めの本。脳科学が言語処理に関する脳機能のどこまでを証明できているのか、当時の研究成果を解説している。言語処理における脳の機能局在、モジュール仮説、プ...
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