羊のぼう

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晴筆雨読

被差別民の歴史 – 阿部謹也『刑吏の社会史』

阿部謹也『刑吏の社会史』(1978)社会史とは何か 社会史とは何を対象にした歴史なのだろう? 歴史学の中でも政治史、経済史、法制度史、美術史、建築史といったものは、対象がはっきりしているので分かりやすい。しかし、社会史と言われると何をする学...
晴筆雨読

民話の解釈学 – 阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』

阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』(1974)「ハーメルンの笛吹き男」の物語はどのようにして生まれたのか? 1284年、ハーメルンに現れた笛吹き男が、報酬と引き換えにネズミを駆除したが、約束を反故にされ、怒って子ども130人を笛で誘い出し、街...
科学半解

SF作家とは違う科学者としての顔 – アイザック・アシモフ『生物学の歴史』

アイザック・アシモフ『生物学の歴史』(1964)生物学者としてのアシモフ アシモフといえば、SF作家として有名だが、同時にボストン大学医学部の生化学の教授でもあった(教鞭は執っていなかったようだが)。 一般向けの科学書(いわゆる、アメリカで...
哲学談戯

「生」への礼賛 – ニーチェ『喜ばしき知恵』(1882)

ニーチェ『喜ばしき知恵』(1882) 来るべき勝利が、いや、かならずや訪れる、ことによるとすでに到来しているかもしれない勝利が……。 およそ予想外のことが起こったかのように、感謝の念がそこここに溢れ出ている。快癒した者の感謝の念が――。 ニ...
哲学談戯

ヨーロッパの精神病理 – ニーチェ『道徳の系譜学』(1887)

ニーチェ『道徳の系譜学』(1887)『善悪の彼岸』を補う書 ニーチェは、本書の前付けにて、この書を前著『善悪の彼岸』を補足、説明するものと述べている。 『善悪の彼岸』自体が『ツァラトゥストラ』の超人思想を説明するべきものだったはずだ。しかし...
哲学談戯

『ツァラトゥストラ』への理論的解説書 – ニーチェ『善悪の彼岸』(1886)

ニーチェ『善悪の彼岸』(1886)『ツァラトゥストラ』執筆後のニーチェ 『ツァラトゥストラ』全4部を書き上げたニーチェは、あまりに文学的な表現形式をとってしまったこの著作に対し、理論的な解説書が必要だと感じていた。 ニーチェが1881年に、...
哲学談戯

問い詰めた先にあるもの – 入不二基義『相対主義の極北』

入不二基義『相対主義の極北』(2001)相対主義の自己適用化 2001年の著作。 相対主義は相対性そのものを真理として主張する。そのため自己論駁に陥る。本書はこの自己論駁を内在的に極限まで問い詰めた先にどのような思考が立ち現れてくるかを思索...
哲学談戯

私という存在を巡る問い – 永井均『ウィトゲンシュタイン入門』

永井均『ウィトゲンシュタイン入門』(1995)哲学することの意味 優れた哲学者とは、「これまで誰も、問題があることに気づかなかった領域に、実は問題があることを最初に発見し、それにこだわり続けた人」のこと――― 哲学の仕事は、すでに知られてい...
床屋政談

自由の本来の意味 – J. S. ミル『自由論』

J. S. ミル『自由論』(1859)矛盾する自由 自由という概念は常に矛盾に満ちている――― 自由は、近代社会を形作る基礎となる理念だ。しかし、社会の基礎となる理念でありながら、社会それ自体との間に常に対立を含んでいる。特に政治という領域...
方々日誌

ルイジアナのRoots Music – Sonny Landreth – Levee Town (2000)

Sonny Landreth - Levee Town (2000) 『Levee Town』とは、堤防の町という意味。もちろん、ニューオーリンズのことだ。 前作『South of I-10』は、彼のルーツであるルイジアナを主題とした、サザ...
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