羊のぼう

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科学半解

SF作家とは違う科学者としての顔 – アイザック・アシモフ『生物学の歴史』

アイザック・アシモフ『生物学の歴史』(1964)生物学者としてのアシモフ アシモフといえば、SF作家として有名だが、同時にボストン大学医学部の生化学の教授でもあった(教鞭は執っていなかったようだが)。 一般向けの科学書(いわゆる、アメリカで...
哲学談戯

「生」への礼賛 – ニーチェ『喜ばしき知恵』(1882)

ニーチェ『喜ばしき知恵』(1882) 来るべき勝利が、いや、かならずや訪れる、ことによるとすでに到来しているかもしれない勝利が……。 およそ予想外のことが起こったかのように、感謝の念がそこここに溢れ出ている。快癒した者の感謝の念が――。 ニ...
哲学談戯

ヨーロッパの精神病理 – ニーチェ『道徳の系譜学』(1887)

ニーチェ『道徳の系譜学』(1887)『善悪の彼岸』を補う書 ニーチェは、本書の前付けにて、この書を前著『善悪の彼岸』を補足、説明するものと述べている。 『善悪の彼岸』自体が『ツァラトゥストラ』の超人思想を説明するべきものだったはずだ。しかし...
哲学談戯

『ツァラトゥストラ』への理論的解説書 – ニーチェ『善悪の彼岸』(1886)

ニーチェ『善悪の彼岸』(1886)『ツァラトゥストラ』執筆後のニーチェ 『ツァラトゥストラ』全4部を書き上げたニーチェは、あまりに文学的な表現形式をとってしまったこの著作に対し、理論的な解説書が必要だと感じていた。 ニーチェが1881年に、...
哲学談戯

問い詰めた先にあるもの – 入不二基義『相対主義の極北』

入不二基義『相対主義の極北』(2001)相対主義の自己適用化 2001年の著作。 相対主義は相対性そのものを真理として主張する。そのため自己論駁に陥る。本書はこの自己論駁を内在的に極限まで問い詰めた先にどのような思考が立ち現れてくるかを思索...
哲学談戯

私という存在を巡る問い – 永井均『ウィトゲンシュタイン入門』

永井均『ウィトゲンシュタイン入門』(1995)哲学することの意味 優れた哲学者とは、「これまで誰も、問題があることに気づかなかった領域に、実は問題があることを最初に発見し、それにこだわり続けた人」のこと――― 哲学の仕事は、すでに知られてい...
床屋政談

自由の本来の意味 – J. S. ミル『自由論』

J. S. ミル『自由論』(1859)矛盾する自由 自由という概念は常に矛盾に満ちている――― 自由は、近代社会を形作る基礎となる理念だ。しかし、社会の基礎となる理念でありながら、社会それ自体との間に常に対立を含んでいる。特に政治という領域...
千言万句

「和歌の前の平等」古代日本人の精神世界 – 渡部昇一『日本語のこころ』

絶版本を読む絶版本の世界へようこそ。あえて絶版本を読み、それを紹介するという誰得?な企画です。渡部昇一『日本語のこころ』(1974)漢語から大和言葉へ ところでヴァイキングにしろアングロ・サクソンにしろ、古代のゲルマン人はキリスト教がくる前...
千言万句

日本語の未来は大丈夫か? – 水村美苗『日本語が亡びるとき』

水村美苗『日本語が亡びるとき』(2008)消えていく言語 一説によれば、現在世界には約5,000から8,000の言語が存在するとされる。数え方にもよるが、少なくとも3000近くあると見るのが一般的らしい。 世界には多種多様な言語が存在してい...
哲学談戯

反時代的思考 – 渡邊二郎・西尾幹二編『ニーチェを知る事典』(2013)

渡邊二郎・西尾幹二編『ニーチェを知る事典』(2013) 1980年に刊行された書籍の文庫化。 文庫本で800ページ近くある(文字通り)大著。ニーチェの専門家に限らず、多様な分野の研究者ら50人以上の執筆陣が、さまざまな面からニーチェ像を浮か...
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