羊のぼう

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床屋政談

プロテスタント弾圧の象徴カラス事件をめぐって – ヴォルテール『寛容論』

ヴォルテール『寛容論』(1763)カラス事件──宗教的不寛容と啓蒙思想の対決 1761年、南フランスのトゥールーズに住む商人ジャン・カラスの自宅で、長男マルク=アントワーヌが首を吊った状態で発見された。地元当局は自殺と見なしたが、やがて事件...
哲学談戯

樽のディオゲネス – 犬と呼ばれた哲学者

犬と呼ばれた哲学者──ディオゲネスJohn William Waterhouse - Diogenes (1882) 古代ギリシア語で「犬」のことをキュオーン(kyon)という。その形容詞キュニコス(Kynikos)は、「犬のような」という...
哲学談戯

キュニコス派(犬儒派)の思想と哲学 – 自然にしたがって生きよ

シニシズム(Cynicism)の意味と語源とは? 英語のシニカル(cynical)という言葉には、「冷笑的な」「人間の誠実さを信じない」といった意味がある。英英辞典 Lexico.com には、次のように定義されている。Believing ...
哲学談戯

「友愛(フィリア philia)」:人と人との間を結びつける紐帯の概念 – プラトン『リュシス』を読む

プラトン『リュシス』(390 BC?)紐帯の原理としての友愛(philia) 副題は、「友愛について」。 ここで扱われる「友愛(philia)」は、現代でいう「友情(friendship)」よりもはるかに広い意味をもつ。 古代ギリシアにおけ...
哲学談戯

ソクラテスの問い──学ぶとは、知識を得ることか、自己を知ることか – プラトン『恋がたき』を読む

プラトン『恋がたき』哲学を学ぶとはどういうことか? プラトンの対話篇のひとつに、『恋がたき(あるいは『恋人たち』)』という作品がある。副題は「哲学について」。この作品は、伝統的にプラトンの著作とされてきたが、現代の計量文献学の分析によれば、...
哲学談戯

プラトン『アルキビアデス』を読む──「知っている」とはどういうことか?初期対話篇におけるソクラテス像の輪郭

偽作とされた『アルキビアデス』 プラトンの作品として現代まで伝わっているものは、帝政ローマ期にトラシュロスがまとめた36編が基本となっている。その中には『アルキビアデス』と題された作品も含まれており、古代から近代に至るまで、長らくプラトンの...
哲学談戯

徳は教えうるか?──『クレイトポン』に見るソクラテスの実像と哲学的問いの本質

プラトン『クレイトポン』『クレイトポン』の真偽問題 古代ローマ帝国の第2代皇帝ティベリウスの廷臣であったトラシュロスは、プラトン全集を編纂し、これが後世のプラトン著作編集の基礎となった。すでに帝政ローマ期には、プラトン名義の真偽不明な著作が...
科学半解

進化論の進化史:淘汰圧の進化と適応の動態的過程 ― 血縁選択説・寄生者仮説・赤の女王仮説

【概略】進化論の進化史(全3回)第3回自然選択の再定義:個体から遺伝子へW.D. ハミルトン:血縁選択説と包括適応度の概念(1964) W.D. ハミルトンは、ダーウィン的な自然選択を再構築し、淘汰の単位を「遺伝子」に置き換える理論的転換を...
科学半解

進化論の進化史:淘汰の単位をめぐる議論 ― 進化するのは、種か個体か遺伝子か?

【概略】進化論の進化史(全3回)第2回ネオダーウィニズムの登場:遺伝学と自然選択の統合 19世紀にダーウィンが提唱した自然選択説は、生物の多様性や適応の過程を説明する強力な理論であったが、当初は遺伝の仕組みに関する知見が不足していた。この理...
科学半解

進化論の進化史:19世紀の歴史哲学と進化論の誕生

【概略】進化論の進化史(全3回)第1回19世紀の歴史哲学と進化論の誕生歴史をめぐる問いの深化:19世紀思想の出発点 19世紀のヨーロッパでは、「歴史」とは何か、歴史の変化に理由はあるのか、といった根源的な問いが、思想家や哲学者たちの主要な関...
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