2019

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文学逍遥

勘定取立て珍道中記 – 井伏鱒二『集金旅行』

井伏鱒二『集金旅行』(1935)「しかし、それはお止しになったらどうです。あなたが是非とも行くと仰有るなら僕は妨害しませんが、それとこれとは問題の性質がちがいます。こちらは岩国の町だけではない、福岡にも、尾道という町にも、岡山にも神戸にも、...
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飄々とした表現の粋 – 井伏鱒二 初期短編作品の魅力

井伏鱒二 初期作品群の魅力 飄々として、軽妙な人物像。淡々として、起伏のない情景描写。 何が面白いのか、と言われれば、説明に困るような作品。。。それが井伏鱒二の短編に感じることだ。 しかし、文章は平易かつ的確で、目の前にありありと情景が浮か...
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手に届かないもの – 井伏鱒二『屋根の上のサワン』

井伏鱒二『屋根の上のサワン』(1929) わたしは足音を忍ばせながら傷ついたがんに近づいて、それを両手に拾いあげました。そこで、この一羽の渡り鳥の羽毛や体の温かみはわたしの両手に伝わり、この鳥の意外に重たい目方は、そのときのわたしの思い屈し...
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度重なる改稿を経た意味 – 井伏鱒二『山椒魚』

井伏鱒二『山椒魚』(1929)度重なる改稿 初出は『幽閉』という題で、1923年(大正12年)に早稲田の同人誌に発表されたもの。その後、大幅に改稿されて、1929年(昭和4年)、『山椒魚』という題で再発表された。 現在、一般的に読まれている...
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放浪と旅立ちの物語 – カフカ『アメリカ』(1927)

カフカ『アメリカ』(1927)『アメリカ』という題名 この作品は、カフカの親友マックス・ブロートによってカフカの遺稿が編纂され、1927年に『アメリカ』という題で出版された。 残された手記から、カフカがこの小説を『失踪者』という題にしようと...
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「日常」という負担 – カフカ『審判』(1925)

カフカ『審判』(1925)「日常」という目に見えない負担 Kにとって訴訟とは何だったのだろう? この訴訟には、終わりも見えなければ、進展も見えない。それでいて、生きている以上、ずっとつきまとって離れないものだ。ただ重い負担となって、ずっとK...
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