2019

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科学半解

遺伝子は「運命の青写真」ではない──脳の柔軟性と複雑性を生み出す「レシピ」の秘密 ― ゲアリー・マーカス『心を生みだす遺伝子』

今日の一冊ゲアリー・マーカス『心を生みだす遺伝子』岩波現代文庫 (2010)Gary Marcus, The Birth of the Mind: How a Tiny Number of Genes Creates the Complex...
晴筆雨読

自然の尊重と破壊:分裂する日本の自然観 – オギュスタン・ベルク『風土の日本』

オギュスタン・ベルク『風土の日本』(1986)分裂する日本の自然観晩春のある日曜日の午後、妻と私は戸山町のあたりをぶらついていた。まるで田園にでもいる思いだった。うねうねと曲がる小道、ときおり現われ出る緑、小さな丘、藪で覆われた窪地、切れ切...
文学逍遥

虚構と近代刑法 – 川端康成『散りぬるを』

川端康成『散りぬるを』(1933) 初出は、1933(昭和8年)年。 5年前に殺された二人の若い女性――― ある作家が、二人への感傷的な思い出を交えながら、事件の訴訟記録をもとに、犯人の心理を推察していく、という話。残された記録から犯人の精...
文学逍遥

こころの不具 – 川端康成『片腕』

川端康成『片腕』(1964) ふと私には、この片腕とその母体の娘とは無限の遠さにあるかのように感じられた。この片腕は遠い母体のところまで、はたして帰りつけるのだろうか。私はこの片腕を遠い娘のところまで、はたして返しに行き着けるのだろうか。 ...
文学逍遥

頽廃を描き続ける執拗さ – 川端康成『眠れる美女』

川端康成『眠れる美女』(1961) 三島由紀夫は、新潮文庫版に解説を寄せて、この作品を次のように評している。 『眠れる美女』は、形式的完成美を保ちつつ、熟れすぎた果実の腐臭に似た芳香を放つデカダンス文学の逸品である。デカダン気取りの大正文学...
文学逍遥

美への憧れのゆくえ──川端康成『朝雲』を読む

『朝雲』 あの方は初めてお教室へいらっしゃる途中、渡廊下の角に立ちどまって古い窓から空を見上げていらした。白い雲の縁にはまだ朝の薔薇色がほのかの残っているようだった。 初出は1941年。 女学生が新しく赴任してきた女性教師に対して抱く淡い憧...
文学逍遥

情景に溶け込む心情 ― 川端康成短編作品『日雀』『イタリアの歌』

情景に溶け込む心情 ── 川端康成 短編作品 川端康成の短編には、風景の一瞬の表情に寄り添うようにして、人の心が描かれている。人々の内面は決して声高に語られることはない。それは、自然の中に沈みこむように、あるいは逆に、何気ない情景からそっと...
文学逍遥

恋と芸術の狭間 ― 川端康成『花のワルツ』

今日の一冊川端康成『花のワルツ』新潮文庫川端康成『花のワルツ』(1937) チャイコフスキーのバレエ曲「花のワルツ」を舞台で踊る二人のバレリーナ、鈴子と星江。 二人は舞台の主役であり、振り付けも二人のために考えられたものだ。若い二人はまだ未...
文学逍遥

太宰との確執 – 井伏鱒二『おんなごころ』(1949)

井伏鱒二『おんなごころ』(1949) 太宰が私に対して旧知の煩わしさを覚えていたことを私も知っていた。敗戦後の太宰は、外見だけのことであるが、まるきり人違いがしているようであった。私だけでなく、以前からの親しい友人たちにも、たいていの旧知の...
文学逍遥

上野の下町気質 – 井伏鱒二『駅前旅館』(1957)

井伏鱒二『駅前旅館』(1957) 昭和30年前後の東京、上野。 上野駅前の旅館が舞台。 当時は駅前に呼び込みをしている旅館というのがたくさんあったらしい。当然だが、この時代は、旅先の宿を予約するというのがままならなかった。そこで重要になって...
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