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声に寄り添うブルースハープ──ジャン・ジャック・ミルトーの“三部作”が描くソウルの風景 Jean-Jacques Milteau – Blues Harp with Vocals

blues harp 方々日誌

Jean-Jacques Milteau – Blues Harp with Vocals

 ジャン・ジャック・ミルトー(Jean-Jacques Milteau)は、卓越したブルース・ハープ(ハーモニカ)奏者として広く知られている。豊かな音色と確かな技術で、世界的にも高い評価を得ている存在である。

 しかし、ミルトーの真価がもっとも発揮されるのは、彼がソリストとして前面に出るときではなく、あえて“引き立て役”に徹した場面だ。

 それを証明しているのが、2000年代後半から2010年代初頭にかけて制作された3枚のアルバム──
 『Fragile』(2006年)、『Soul Conversation』(2008年)、『Consideration』(2011年)だ。

“ソウル三部作”としての完成度

 この三作において特徴的なのは、いずれの作品においてもヴォーカルが前面に立ち、ミルトーのハープが脇に徹している点だ。
 彼の演奏は一歩引いた位置から歌声の魅力を際立たせている。

 『Fragile』では、ソウルフルな歌声を持つデミ・エヴァンス(Demi Evans)が参加し、
『Soul Conversation』と『Consideration』では、実力派シンガーであるマイケル・ロビンソン(Michael Robinson)とロン・スミス(Ron Smyth)がそれぞれ歌声を響かせている。

 ミルトーの演奏は決して自己主張するものではない。だが、各楽曲において確実にその骨格を支え、ヴォーカルの輪郭を浮かび上がらせている。さりげなく、しかし的確にリスナーを歌の世界へと導いていくのである。

 この三枚のアルバムは、単なる共演作ではない。それぞれ完成度が高く、通して聴くことで一つの物語が浮かび上がる──まさに“ソウル三部作”と呼ぶにふさわしい。

 ミルトーはヴォーカルを引き立てる役回りに徹し、音楽に深みを加えている。ヴォーカルの力強さと繊細さ、その魅力を際立たせる演奏美に触れたいリスナーには、この時期の作品群は必聴だ。

J. J. Milteau & Demi Evans – Jack The Man

J. J. Milteau, Michael Robinson & Ron Smyth – Keep On Moving

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