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フランスの風を吹き込むブルース・ハーピスト──ジャン・ジャック・ミルトー(Jean-Jacques Milteau)の魅力

方々日誌

Jean-Jacques Milteau ─ フランスが奏でるブルースの新しいかたち

 ブルースといえばアメリカ南部を思い浮かべる人が多いかもしれないが、その深いルーツと多彩な展開は、時に国境を越えて新たな形を見せてくれる。その好例が、フランス出身のブルース・ハーピスト、ジャン・ジャック・ミルトー(Jean-Jacques Milteau)である。

 ミルトーは、DeltaブルースからChicagoブルースまで、数々の名だたるブルース・ミュージシャンと共演を重ねてきた実力派。彼の演奏スタイルは実に幅広く、アメリカ伝統のブルースを踏まえつつも、どこか洗練されたエスプリを感じさせる。ソロ・アルバムでは、フレンチ・ワルツを思わせるようなメロディが顔をのぞかせるなど、フランスならではの音楽性も随所に垣間見える。

 思えば、ブルースの発祥地ニューオーリンズ自体がかつてフランス文化圏だった。そう考えると、フレンチ・ブルースというジャンルが存在しても不思議ではない。むしろ、ジャン・ジャック・ミルトーのような存在こそが、ブルースという音楽の懐の深さを体現していると言えるだろう。

 彼の作品には、アメリカの正統派ブルースの影響とともに、フレンチ・カントリー的な要素が溶け込んでおり、伝統と革新が見事に調和している。クラシックなブルースの空気感を保ちつつ、どこかモダンでおしゃれ。そんなブルースを探している人には、ぜひ一度ミルトーの音楽を聴いてほしい。

 ジャン・ジャック・ミルトー──ブルースの伝統を継ぎながらも、独自の美学でそれを再構築する、稀有なアーティストだ。

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