Mississippi Delta

【Roots Music】Mississippi Delta – ブルース発祥の地

Mississippi Deltaとは?

Mississippi Delta

 The Mississippi Delta is the distinctive northwest section of the U.S. state of Mississippi which lies between the Mississippi and Yazoo Rivers. The region has been called “The Most Southern Place on Earth” (“Southern” in the sense of “characteristic of its region, the American South”), because of its unique racial, cultural, and economic history. It is two hundred miles long and seventy miles across at its widest point, encompassing circa 4,415,000 acres, or, some 7,000 square miles of alluvial floodplain.

 Originally covered in hardwood forest across the bottomlands, it was developed as one of the richest cotton-growing areas in the nation before the American Civil War (1861-1865). The region attracted many speculators who developed land along the riverfronts for cotton plantations; they became wealthy planters dependent on the labor of black slaves, who comprised the vast majority of the population in these counties well before the Civil War, often twice the number of whites.

Mississippi Delta – Wikipedia

【抄訳】
 ミシシッピ・デルタとは、ミシシッピ川とヤズー川に挟まれたミシシッピ州北西部地域のこと。その特殊な人種的、文化的、経済的な歴史から、もっともアメリカで南部的な特徴を持つ地域と呼ばれている。
 もともとは硬木の林が覆っていた川沿いの低地だが、南北戦争前から、アメリカ国内で最も豊かな綿花栽培地として発展した。この地域は、多くの投機家を惹きつけ、綿花農場として川沿いの発展が進められた。彼らは、多くの黒人奴隷を使用することで、裕福な農園主となっていった。黒人奴隷の人口は、南北戦争前には、しばしば白人人口の2倍に及ぶこともあった。

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 この地域は、ミシシッピ・デルタと呼ばれているが、地理学的には、三角州ではなく、川に挟まれた低湿地帯(沖積平野)らしい(デルタとは三角州の意味)。洪水被害が多いことでも知られている。
 肥沃な土地で、綿花栽培の中心地であったが、農園主のみに利益が集中し、経済的には貧困地区であった。
 この地域で黒人奴隷たちの間で歌われていた労働歌などが、bluesの原型となった。今でも、ミシシッピ・デルタは、多くのbluesの中で歌われている。

 Deep Southと呼ばれるルイジアナ州、ミシシッピ州、アラバマ州、ジョージア州、サウスカロライナ州を中心に生まれた初期のbluesを一般的にCountry Bluesと呼ぶが、その中でもこのミシシッピ・デルタで生まれた最初期のbluesをDelta Bluesという。
 Country Bluesという名前には、City Bluesに対して「田舎の」といった意味しかないが、Delta Bluesと言ったときは、その言葉に多くの含意(connotation)がある。

 この地域は肥沃な土地ではあるが、水害が多く決して住みやすい地域ではない。また多くの黒人たちにとっては、過酷な重労働を象徴する土地でもある。それにも関わらず、deltaはbluesの中で郷愁をもって歌われた。

 この地で暮らした黒人たちには「delta」という言葉は、非常に両義的なものだっただろう。過酷な生活環境であると同時に雄大な自然であり、重労働を象徴する地であると同時に郷愁を誘う地でもある。
 このような複雑な心境をそのまま歌ったのがDelta Bluesだ。

 Bluesは「悲しみ」を歌ったものだが、そこに悲壮感はあまり感じられない。むしろ、Delta Bluesにはミシシッピ川のゆっくりとした雄大な水の流れに身を任せているかのような自然体の姿が感じられる。悲しみも日々の辛さも、川の流れに身を任せるように自然と吐露したのが、bluesという文化だったのだと思う。