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ギリシア語アルファベット一覧

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古典ギリシア語と現代ギリシア語の発音

古典ギリシア語(紀元前5〜4世紀アッティカ方言を基準)の発音と現代ギリシア語の発音
(古典発音は文献学的再構、現代発音は標準現代ギリシア語)

大文字小文字英語読みカタカナ読み古典IPA現代IPA
ΑαAlphaアルファ/a//a/
ΒβBetaベータ/b//v/
ΓγGammaガンマ/ɡ/(前舌母音の前では [ɣ])/ɣ/(前舌母音の前では [ʝ])
ΔδDeltaデルタ/d//ð/
ΕεEpsilonエプシロン/e/(短母音)/e/
ΖζZetaゼータ/zd/(または /dz/)/z/
ΗηEtaエータ/ɛː/(長母音)/i/
ΘθThetaシータ/tʰ//θ/
ΙιIotaイオタ/i/(短・長)/i/
ΚκKappaカッパ/k//k/(前舌母音前では[ɡ]に近い)
ΛλLambdaラムダ/l//l/
ΜμMuミュー/m//m/
ΝνNuニュー/n//n/
ΞξXiクシー(クサイ)/ks//ks/
ΟοOmicronオミクロン/o/(短母音)/o/
ΠπPiパイ/p//p/
ΡρRhoロー/r/(巻き舌)/r/(巻き舌)
Σσ/ςSigmaシグマ/s//s/
ΤτTauタウ/t//t/
ΥυUpsilonウプシロン/y/(独仏語のüに近い)/i/
ΦφPhiファイ(フィー)/pʰ//f/
ΧχChiカイ/kʰ//x/(前舌母音の前では [ç])
ΨψPsiプサイ/ps//ps/
ΩωOmegaオメガ/ɔː/(長母音)/o/
  • 古典ギリシア語では有気音(/pʰ, tʰ, kʰ/)や二重子音(/zd/など)があり、母音の長短も意味を区別した。
  • 現代ギリシア語では摩擦音化(β→/v/, δ→/ð/, γ→/ɣ/)や母音融合(η・υ・ιがすべて/i/)が進行している。
  • Υ(ウプシロン)は古典ではフランス語 lune の「u」に近い /y/ だが、現代では完全に /i/ 。

二重母音(diphthongs)と綴字上の二重母音・ディグラフ

綴りカタカナ読み(慣用)古典IPA現代IPA備考
αιアイ/ai̯//e/古典では本物の二重母音、現代では「エ」に融合
ειエイ/ei̯/(後に /eː/)/i/古典では二重母音→長母音化、現代では「イ」
οιオイ/oi̯//i/現代では「イ」に融合
αυアウ/au̯//av/(有声子音前)、/af/(無声子音前)π, τ など無声子音前では /f/
ευエウ/eu̯//ev/(有声子音前)、/ef/(無声子音前)現代ギリシア語特有の摩擦音化
ουオウ/ou̯/(後に /oː/)/u/現代では「ウ」
ηυエーウ/ɛːu̯//iv/(有声子音前)、/if/(無声子音前)非常に稀、古典では長母音+uの二重母音
υιウィ(イ)/yi̯//i/古典では /y/ 音を含む、現代では融合
  • 古典ギリシア語では、母音の長短や二重母音の存在が意味を区別する上で重要な要素。
  • 現代ギリシア語では母音融合(vowel merging)が進み、多くの二重母音が単母音化している(例:αι, ει, οι, υι → /i/ または /e/)。
  • αυ・ευ・ηυ は、後続子音の有声/無声で [v]/[f] または [ð]/[θ] 系に変化する現象がある。
  • ου だけは現代でも二重母音ではなく単母音 /u/として発音される。

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