文学逍遥 上野の下町気質 – 井伏鱒二『駅前旅館』(1957) 昭和30年前後の東京、上野。 上野駅前の旅館が舞台。 当時は駅前に呼び込みをしている旅館というのがたくさんあったらしい。当然だが、この時代は、旅先の宿を予約するというのがままならなかった。そこで重要になってくるのが番頭の役割で、同業者同士で... 2019.06.05 文学逍遥
文学逍遥 敗戦後世相の哀愁とおかしみ – 井伏鱒二『本日休診』(1950) 舞台は、東京鎌田、六郷川沿いにある産婦人科医院。戦災で焼けた医院を立て直して、新たに再出発した。 医師の八春は、甥の伍助に院長の座を継がせて病院経営を任せている。自分は後見人に退いた。が、なぜか院長の伍助よりもはるかに忙しい――― 終戦間も... 2019.06.02 文学逍遥
文学逍遥 傷痍軍人の悲喜劇 – 井伏鱒二『遙拝隊長』(1950) 井伏鱒二『遙拝隊長』(1950)「ばか野郎。敵前だぞォ、伏せえ」 元陸軍中尉の岡崎悠一は、通りすがりの人々に誰彼と見境なく、突然、怒鳴りつけ、戦時中さながらの号令を発している。彼は、戦争がいまだに続いていると錯覚している。。。 この作品は、... 2019.06.01 文学逍遥