文学逍遥 田舎の巡査のドタバタ駐在日記 – 井伏鱒二『多甚古村』 井伏鱒二『多甚古村』(1939) 多甚古村――― 読み方は「たじんこむら」。裏手に山を控え、岸辺近くの南方のどこかの農村、ということまでしか分からない。 「国家危急の際」という言葉が作中、何度か出てくる。だが、人々の暮らしにそれほど逼迫した... 2019.05.25 文学逍遥
文学逍遥 敗戦後の人々の強かな姿 – 井伏鱒二 短編作品紹介 『追剥の話』 とある村の寄り合い所(共同作業場)。敗戦から2、3ヶ月が過ぎて追剥や強盗が増えてきたというので、各集落で集まって対策を練っている。「盗難対策提案緊急会議」と戦時さながらな大仰な名前が付けられている。 集まった人たちは部落会長の... 2019.05.23 文学逍遥
文学逍遥 勘定取立て珍道中記 – 井伏鱒二『集金旅行』 井伏鱒二『集金旅行』(1935)「しかし、それはお止しになったらどうです。あなたが是非とも行くと仰有るなら僕は妨害しませんが、それとこれとは問題の性質がちがいます。こちらは岩国の町だけではない、福岡にも、尾道という町にも、岡山にも神戸にも、... 2019.05.22 文学逍遥
文学逍遥 飄々とした表現の粋 – 井伏鱒二 初期短編作品の魅力 井伏鱒二 初期作品群の魅力 飄々として、軽妙な人物像。淡々として、起伏のない情景描写。 何が面白いのか、と言われれば、説明に困るような作品。。。それが井伏鱒二の短編に感じることだ。 しかし、文章は平易かつ的確で、目の前にありありと情景が浮か... 2019.05.21 文学逍遥
文学逍遥 手に届かないもの – 井伏鱒二『屋根の上のサワン』 井伏鱒二『屋根の上のサワン』(1929) わたしは足音を忍ばせながら傷ついたがんに近づいて、それを両手に拾いあげました。そこで、この一羽の渡り鳥の羽毛や体の温かみはわたしの両手に伝わり、この鳥の意外に重たい目方は、そのときのわたしの思い屈し... 2019.05.20 文学逍遥
文学逍遥 度重なる改稿を経た意味 – 井伏鱒二『山椒魚』 井伏鱒二『山椒魚』(1929)度重なる改稿 初出は『幽閉』という題で、1923年(大正12年)に早稲田の同人誌に発表されたもの。その後、大幅に改稿されて、1929年(昭和4年)、『山椒魚』という題で再発表された。 現在、一般的に読まれている... 2019.05.20 文学逍遥