晴筆雨読 自然への尊重と破壊 分裂する日本の自然観 – オギュスタン・ベルク『風土の日本』 オギュスタン・ベルク『風土の日本』(1986)分裂する日本の自然観晩春のある日曜日の午後、妻と私は戸山町のあたりをぶらついていた。まるで田園にでもいる思いだった。うねうねと曲がる小道、ときおり現われ出る緑、小さな丘、藪で覆われた窪地、切れ切... 2021.07.05 晴筆雨読
晴筆雨読 インド仏教小史 – ヤン・ゴンダ『インド思想史』~仏教理論編~ J・ゴンダ『インド思想史』のまとめ続き。今回は仏教について。ブッダの不可知論 ブッダは悟りを開いた当初、自らが達した解脱智を人々に説くことを躊躇していた。しかし、世俗化する祭式主義と出家などの苦行主義とに両極化する中で、人々が苦しみの中に置... 2018.08.21 晴筆雨読
晴筆雨読 ヴェーダからヒンドゥー教まで – ヤン・ゴンダ『インド思想史』(1948) インドの思想と宗教 インド北西のインダス川流域では、紀元前2600年頃からインダス文明が発展した。この文明は紀元前1800年頃には衰退し、それと入れ替わるような形で、紀元前1900年から1700年を境にヴェーダ期と呼ばれる新たな文化が形成さ... 2018.08.20 晴筆雨読
晴筆雨読 原始仏教入門 – 中村元『ブッダ伝 生涯と思想』(1995) 中村元『ブッダ伝 生涯と思想』(1995)ブッダ本来の教えを知る ガウタマ・シッダールタは、紀元前五世紀頃、インド北部、ネパール国境付近のシャーキャ国の王族として生まれ、29才で出家、6年間の修行ののちに悟りを開き、その後は80才で入滅する... 2018.08.15 晴筆雨読
晴筆雨読 日本人の知らない日本の宗教 – トーマス・カスーリス『神道』 トーマス・カスーリス『神道』(2004) 2004年刊行。翻訳は2014年。 著者は、アメリカにおける日本思想、宗教哲学の第一人者。神道という、日本人にとってさえ、極めて捉えどころない宗教を外国人の視点から、体系的にまとめている。 多くの日... 2016.11.08 晴筆雨読
晴筆雨読 多様なルネサンス像 – 樺山紘一『ルネサンス』 絶版本を読む絶版本の世界へようこそ。あえて絶版本を読み、それを紹介するという誰得?な企画です。樺山紘一『ルネサンス』(1993)近代性の裏に隠れたルネサンスの異なる側面 人間中心主義と合理主義的精神——— 14世紀は、古典文芸の復興の時代で... 2016.06.15 晴筆雨読
晴筆雨読 被差別民の歴史 – 阿部謹也『刑吏の社会史』 阿部謹也『刑吏の社会史』(1978)社会史とは何か 社会史とは何を対象にした歴史なのだろう? 歴史学の中でも政治史、経済史、法制度史、美術史、建築史といったものは、対象がはっきりしているので分かりやすい。しかし、社会史と言われると何をする学... 2015.12.06 晴筆雨読
晴筆雨読 民話の解釈学 – 阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』 阿部謹也『ハーメルンの笛吹き男』(1974)人々を解釈へといざなう民話 単純な起承転結の物語になれている現代人にとって、洋の東西を問わず民話は、非常に理解しにくいものが多い。 動物譚や英雄譚など子供が喜びそうな題材を扱っていながら、内容の意... 2015.12.05 晴筆雨読
晴筆雨読 本を読んでるとバカになる? – 清水幾太郎『本はどう読むか』 清水幾太郎『本はどう読むか』(1972)読まれる読書から読む読書へ 読書というのは、なんとなく読んでいるだけで、自分が考えたような気になってしまう。しかし、著者に言わせると、それは本に「読まれている」だけで、自分にとって意味のある読書体験に... 2015.04.05 晴筆雨読
晴筆雨読 批判的読書のために – M. J. アドラー『本を読む本』 M. J. アドラー『本を読む本』Mortimer J. Adler, How to Read a Book, 1940批判的読書のために 原著は1940年の刊行。 戦前の古い著作で、単なる教養主義的な読書論を展開しただけの内容ではないかと... 2015.01.11 晴筆雨読