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Rockの作詞に革新をもたらした作品 – Bob Dylan – Highway 61 Revisited (1965)

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 Having until then recorded mostly acoustic music, Dylan used rock musicians as his backing band on every track of the album, except for the closing 11-minute ballad, “Desolation Row”. Critics have focused on the innovative way in which Dylan combined driving, blues-based music with the subtlety of poetry to create songs that captured the political and cultural chaos of contemporary America. Author Michael Gray has argued that in an important sense the 1960s “started” with this album.

 Leading with the hit single “Like a Rolling Stone”, the album features songs that Dylan has continued to perform live over his long career, including “Ballad of a Thin Man” and “Highway 61 Revisited”. He named the album after the major American highway which connected his birthplace, Duluth, Minnesota, to southern cities famed for their musical heritage, including St. Louis, Memphis, New Orleans, and the Delta blues area of Mississippi.

Highway 61 Revisited – Wikipedia

 Highway 61 Revisited (邦題: 追憶のハイウェイ 61) は、Bob DylanがRock soundを確立したalbumとして評価がされているが、その後のRock Musicの歴史を見ると、むしろ歌詞の方に革新的な意味をもたらした作品だと思う。

 作品のtitleにもなっている国道61号線は、Bluesにまつわる伝説のやたらと多い通りで、Robert Johnsonが音楽的啓示を受けたというのもこの通りだ。

 この意味深な通りの名を冠したこのalbumには、宗教的、社会的にさまざまな主題を複雑に入り組ませた歌詞が多く含まれている。一読しただけでは、何を言おうとしているのかまったく分からない謎めいたものが多い。だが、それらの複雑な表現は、単なる歌詞という領域を超えて「詩」として洗練されていて、まるで文学作品を読んでいるかのような気にさせられる。

 Rock Musicは、Elvis Presleyの人気に代表されるように、50年代ごろから流行を見せているが、その歌詞の内容は、恋愛や若さへの賛歌が中心で、単純なものが多かった。一方、Folkは、protest songの中心になったように、複雑で知的な内容の歌詞が多く、社会性も強かった。
 Bob Dylanは、このアルバムでFolk songのような複雑な内容表現を含む歌詞をRockのrhythmに乗せることに成功している。しかも、それが極めて詩的に洗練された形で!

 このalbumにおけるBob Dylanの歌い方は、歌っているというよりも、叫んでいるかのようなstyleで、Talking Bluesの歌唱法にかなり近い。Melody軽視のこの歌唱法は、歌詞表現の幅を広げるために大きな意味を持った。そして、この歌唱法をRockの荒々しい演奏に見事に調和させるという奇跡的なことを、何気に同時に行っているのだっ!
 Rockの歌唱表現の幅は、このalbum以降、飛躍的に広がっていった。

 前作のBringing It All Back Homeが非常に洗練された演奏だったのに対し、今回の作品は、聞いていてどうも荒削りというか、悪く言えば適当、良く言えばRock的な荒々しさを感じさせる演奏だ。何か不協和音を聞いているような気になる。
 しかし、それが魅力の一つになっているのがこのalbumの面白いところだ。Keyboardを多用した演奏は、bandとしての音の幅を広げているし、popular songとして聞きやすいものになっている。

 Highway 61 Revisitedは、なによりもLike A Rolling Stoneが収録されているalbumとして有名だ。この曲こそ、複雑な主題を織り込ませた歌詞をRockという形で演奏することが可能であることを証明した曲だ。そして、Bob Dylanの初期を代表する商業的にも成功した曲だ。
 曲も演奏も、Bob Dylanの独特の歌唱もすばらしいが、なによりも歌詞が優れている。ホント曲よりも歌詞にシビレる作品。

 下の映像はRolling Stonesによるcover。こちらもかなりカッコいい!

Like A Rolling Stone